社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
「そのままの意味だよ」


「………?」


そのままの意味?


「和奏は馬鹿?」


「……え?」


「…まぁ、いいや。しばらく考えてなよ」


急に不機嫌になってしまった相良さん。


落ち着いて考えてみる。


「あの…保育園で働かせて頂くから花野井家と関わりが深まると言う事ですか…?」


恐る恐る導き出した答えを伝えると
「そうじゃなくて、和奏と籍を入れたら、花野井家とも家族ぐるみの付き合いだねって意味!…っもう、言わなくても察しろよ」
と早口で言われたが、暗くて良く見えないが相良さんは照れているかの様だった。


「わ、私…相良さんの奥さんになっても良いんですか?嬉しいです」


今日は素敵なサプライズが沢山あって、驚きの連続。


やっと理解した私は胸がキュンキュンして、相良さんが車を運転してなければ、今すぐにでも相良さんに飛び付きたい気分だった。


「こないだからいずれは…って話してるのに、全然返事してくれないから和奏が嫌がってるのかと思ってたけど…本当に分かって無かったとは…」


「相良さんはいつも遠回しだから分かりずらいですって!もっとストレートに言って下さいね!馬鹿って言うみたいに!」


「……っるさい!」


嬉しくて嬉しくて、胸が張り裂けな位に心が弾んでいる私は相良さんをからかい返したりして、幸せを噛み締めていた。


「相良さん、どうしましょう?嬉しくて眠れません…!」


「一人で朝まで起きてれば?…今日は絶対に帰るから」


「……うっ、冷たい」


グサリと毒を吐く相良さんは照れ隠しをしているんだと解釈すると、とても愛おしい。


幸せな一日。


別れの時間はすぐ先でも、もう寂しくない。


未来も一緒に歩んで行ける約束があれば、明日さえも待ち遠しい。


「おやすみなさい、相良さん」


「おやすみ…」


別れ際に触れるだけのキスと抱擁をして、部屋へと向かった。


また、明日ね───……
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