社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
褒められるのはくすぐったくもあり、どこか気恥しい。


「一緒に住む?とか社長は言ってたけど、和奏が気が引けると思うから…和奏が良ければだけど、うちの近くに引っ越しして来たら?」


花野井家での会話の中で『一緒に住めば良いのに』と社長や会長御夫婦は言って下さったけれど、まだ入籍もしていないし、私まで花野井家にお世話になってしまったら申し訳がない。


直ぐにでも相良さんが花野井家を出て、同棲したり結婚したり出来ない事情も考慮しての私の近場への引っ越しなんだと理解する。


「えぇー…!?引っ越ししたいですけど、でも、家賃が高そう!」


「探して見れば?それとも一緒に探そうか?」


「はい、宜しく御願いします」


土地感もなく、不動産に行くにも緊張してしまう私には一人で探す事などは無理な話で相良さんの申し出は嬉しかった。


「引っ越し出来れば、もっと長い時間一緒に居られると思うし…朝も一緒に出勤出来る」


保育園は会社のビルの裏手にあたる場所に建築中予定であり、凄く近いのだ。


朝も一緒に出勤…だとか、私はこんなにも幸せ過ぎて良いのでしょうか?


「っふふ、今が生きている中で一番幸せです。有難う御座います!」


「…生きている中で一番幸せとか言われても困る。だって、これから先は結婚したり、子供産まれたりするんだよ?一番の幸せは塗り替えられて行かなきゃ」


「……え?」


「え?じゃなくて、近い将来の話をしてるんだけど…。和奏が嫌だったら良いんだけど!」


嫌なはずなどある訳が無い。


ダメ元で告白した時に貰った返事ぐらい驚き過ぎて、頭の中がついていけない。


相良さんの口からあっさりと"結婚"の二文字が出た上に子供の話までしてくるなんて…!


夢の中なのか、狐に摘まれたのか位の衝撃で嬉しさよりも、呆気に取られている方が大きい。
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