社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
───その後の話し合いの結果、年内一杯で彩羽コーポレーションを辞める事になり、年明けからは花野井百貨店の保育園に研修へと向かう予定。


仕事中だと言うのに奈子ちゃんは、目を潤ませている。


「今日で先輩と働くのが最後だと思うと…寂しいです…!」


「私だって寂しいよ。まだまだ一緒に働きたかったよ」


「派遣先のどの方よりも、優しく丁寧な対応をしてくれた先輩が大好きなんですっ。奈子はぁ…相良さんとの恋が実るように…っく、いのっ、て…ます…」


ついに奈子ちゃんの涙が決壊してしまい、声を押し殺しながら泣いている。


私だって寂しくて泣きたいけれど、二人で泣く訳には行かない。


頬を伝う涙がポロポロと受付テーブルに落ちてしまっていたので、奈子ちゃんを化粧室に誘導した。


可愛い後輩の奈子ちゃんが出来て、相良さんに一目惚れして付き合う事になって…元カノの麗紗さんも出てきたりして…あっという間の数ヶ月だった。


奈子ちゃんにはまだ伝える事が出来ないけれど、応援してくれたおかげで恋が実りました。


伝える事が出来ないのは騙しているようで申し訳ないのだけれど、正式に保育園勤務になれば、相良さんとも職場が別になるから伝えても大丈夫だと思うんだ。


今後はプライベートで会えたら良いな、と心から願う。


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