社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
今日は私の受付嬢としての最終日でもあり、年内の仕事納めの日なので、奈子ちゃんの気持ちが落ち着き次第、私は会議室の掃除へと向かった。


会議室の中を掃除機をかけ、テーブルを拭いてから整えて…いつもより念入りに掃除する。


さほど汚れてはいないけれど…感謝の気持ちを込めて綺麗にしなきゃ。


「いつも綺麗にしていただき、ありがとう御座います」


ドアに背を向けて作業をしていると背後から聞き慣れた声が飛んで来た。


クルリ、と後ろを振り向くと声の主は想像通りのは人で嬉しくて顔がほころぶ。


「相良さんに告白した日と同じシチュエーションですね!」


勢い余って告白した"あの日"と光景は同じだけれども、1つだけ違う事と言えば…会議室のドアが閉められて鍵の締まる音がした事だった。


おいでおいでーと無表情で手招きされ、暖かいペットボトルのカフェオレを手渡された。


整えたばかりの椅子を引き出し、ちょこんと座らせられる。


その隣には相良さんが座り、手渡されたカフェオレと同じ物を飲んでいる。


「ちょっと休憩…」


『ふぅっ…』と小さく溜息を吐き、少しだけ崩れた前髪をかきあげる。


黒縁メガネの隙間から流し目で見られるとドキドキが止まらない。


最近、会社以外では眼鏡を外しているので眼鏡姿の相良さんを間近で見るのは久しぶりなのだ。
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