社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
チラチラと見ていると目が合ってしまい、恥ずかしくなり思い切り目を反らす。


な、何やってるんだろう…私?


「和奏はいつまでも初々しいね。何がそんなに恥ずかしいの?」


「……え、ちょ、…と…」


ジリジリと追い詰められて、眼鏡をかけた奥の瞳から見つめられたまま、顎に触れられて口角を上げられる。


「いつまでも敬語だし、名前も呼んでくれないし…いつになったら普通に接してくれるの?」


み、見つめられたままなんですけど!


目を反らしたいので、キュッと唇を噛んで目を瞑ると…目元に柔らかい感触がした。


「…………!」


「和奏、顔が真っ赤だよ」


「さ、相良さんが、お、追い詰めるからっ!」


クスクスと笑う相良さんが、余裕たっぷりで憎たらしい。


っぷぅ、と膨れっ面のままでカフェオレを一口含むと相良さんに反論した。


「いっつも余裕そうでムカつきます。私の方がお姉さんなんだからね!」


「…ははっ、知ってるよ。4ヶ月だけね」


相良さんの誕生日は2月なので、10月産まれの私より少しだけ遅い。


勢い余って返した言葉が子供地味た反論で相良さんに笑われる。


「…ぅー、相良さんのバカッ!」


よしよし、と頭を撫でられた。


俯いて下を向いて居ると、落ちてきた前下がりの髪の毛を耳にかけてきて、少しだけ上を向かされて唇が重ねられた。




「もう離れて行かないで。俺は和奏だけが側に居てくれたら、他には何も望まないから…」



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