社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
いざエレベーターが最上階で止まり、扉が開くと女性が立っていた。


お互いに驚いて目が丸くなり、目線を反らし、社交辞令の『お疲れ様です』を交わす。


目の前にはスタイルが良く、可愛い女子社員が立っていた。


もしかして、この人が秋葉さん?


首から下げていた社員証を確認すると、やっぱり秋葉さんで間近で見ると本当に可愛い。


肌も白くて、目元もパッチリ、ナチュラルメイクに見えるけれどこんなにも可愛いのは、素顔が元々可愛いからだと思った。


「あ、あの…その制服は受付の方ですか?図々しいお願いなんですけど、今、ここで会ったのは内緒にして欲しいんです… 」


推測だけれども、副社長に会いに来たのだと思われる。


「大丈夫ですよ、誰にも言いません。私は押し間違えて最上階に来てしまいました」


「ありがとうございます!すみません、初対面なのに…」


ペコリとお辞儀をしてお礼を伝える秋葉さんは物腰柔らかな方で、話しをしやすそうだった。


「わ、私からも1つ聞いても大丈夫ですか?」


「はい、どうぞ?」


秋葉さんに近付くチャンスなんて、そうそうない。


勇気を出して相良さんの事を聞いたのだが、咄嗟に出たのは、
「相良さんって…いつも無表情ですか?」
だった。


「……そうですね、でも、とても素敵な方だと思いますよ。では、また」


企画開発部の階にエレベーターが止まり、微笑みとふんわりと良い残り香を残して彼女は去った。
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