社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
「私が小学生の時に副社長と出会いました。その頃は私も"自分なんか…"と思ってましたが、副社長はそんなのお構いなしに人の心に土足で踏み込んで来るんです。あの人達は自分の地位なんて気にしないんです。逆に言えば、地位を利用する人とは深く接触したりしません。

胡桃沢さんとは心から友人になりたいから、誘ってるんだと思いますよ?」


「……わ、分かりました!遠慮なく、お誘い受けますね」


先程までは冷たく言い放った言葉が怖かったけれど、事細かに説明してくれたので落ち着きを取り戻した。


私は普段から、そんなにも卑屈になっていたのだろうか?


余り接する事のなかった相良さんに指摘されるんだから、卑屈になっていたんだろうな…と反省する。


次の信号待ち、急に手が伸びてきたと思ってドキリと心臓の音が大きく跳ねた。


「……胡桃沢さんからも何か話して下さい」
と言われて、頭をポンポンと軽く叩かれる。


先日に引き続き、二回目の頭ポンポンにドキドキを隠せない。


相良さん、頭に触れるの好きなのかな?


「さ、相良さんはどうして私とお付き合いして下さったんですか?」


頭の上に乗せられた大きな左手を両手で掴み、胸の前でギュッと握る。
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