社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
もっと近付きたくて、最も手っ取り早い、"プライベートは敬語禁止令"を出しては見たものの、上手く行くかどうか…。


「……ついでにですけど、もう1つお願いがあります。相良さんの事、名前で呼んでもいいですか?」


「どうぞ、ご自由に。胡桃沢さん、自分から敬語はなしって言って、まだ敬語で話してる…」


「あっ、本当だ。癖ってなかなか直らないものですね…」


「ほら、また…」


私は「あっ、」と言いながら口を手で覆った。


相良さんとは敬語でしか話していなかった為、急に常語に変更するのも無理があった。


しかも、名前で呼んでも良いか?なんて聞いてしまって取り返しがつかなくなった。


何て呼ぶつもりだった?


大貴"さん"?大貴"君"?───呼び捨ては無理だから・・・。


「……胡桃沢さん?大丈夫?」


ふとした瞬間、助手席側に顔を少しだけ傾けて、私を確認する相良さん。


「だ、大丈夫で、す。ちょっと考え事してました」


ちょっとだけ目が合うだけでも、ドキドキしちゃう。


「…そう。なら、いいけど。胡桃沢さんが俺の事、何て呼んでくれるのか楽しみにしてるよ」
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