社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
「相良さんって、一人でいたいタイプですか?」


言葉を選んで言ったつもりがキツい言い方になってしまったかもしれないが、相良さんは動じずに淡々と答えた。


「……別にそーゆー訳じゃない。ただ、副社長とは友達にはなり切れない事情がある」


「そうなんですか…」


相良さんと副社長の間には複雑な"何か"が隠されている様だ。


私には仲が良さげに見えるし、副社長も親友の様に信頼しきって接している様に見える。


副社長といる時の垣間見える、穏やかな表情は安心している証拠だと思っていた。


「うちの祖父母が生きている時、副社長の実家で執事と言うか…家政婦業をしていて、その頃からお世話になっていたから、完全に友達と呼べないのはそのせいだよ。そんな暗い顔しなくても、別にそれだけだから」


相良さん的にわだかまりがあるとしたら、祖父母のお手伝いさんとしての名残りからなんだろう。


祖父母が亡くなっても、主従関係は健在というわけか…。


わしゃわしゃと髪の毛を撫でられ、私のナチュラルショートボブの髪型が乱れた。


「ああぁっ、髪の毛ぐじゃぐじゃ!」


「…撫でやすいから仕方ないよ」


その理由は有り得ないでしょ…。
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