社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
話題を切り替える為に誤魔化したのかもしれないけれど…。


私はぐじゃぐじゃの髪を手ぐしで直して、
「もうっ。子供じゃないんだから、もっと大人らしく接して下さい!」
とはっきりと伝える。


触られるのは嬉しいけれど、相良さんに会うために念入りにセットしたのに台無しじゃないか!


「…そっか、分かった。これからはそうする」


さり気なく手を伸ばし、私の頬を撫でて唇に指を這わせてなぞる。


その突拍子もない行動に驚き、私は目は丸くなって鼓動が早くなり、思わずフォークを床に落としてしまった。


「……今、替えのフォークお願いするから」


流し目で不敵な笑みを浮かべた相良さんは余裕そのもので、ただ単に私をからかって遊んでいるのだと思った。


私は心臓が張り裂けそうな位、ドキドキしてるって言うのに!


余裕があり過ぎて憎たらしい。


替えのフォークが届き、再びホットケーキを食べ始めるとアイスが溶けていた。


相良さんにからかわれつつ時間を過ごし、お店は閉店時間間近になり、お客さんも私達の他は居なくなった。


「…さて、と」


テーブル上にある食器類を相良さんが運び出したので、私も一緒に片づけた後、バーのカウンターに座らせられた。


言わずとも色の綺麗なカクテルが出てきて、後藤さんが「俺の奢りね」と言った。
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