社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
この時間は自販機の横の休憩スペースには誰も立ち寄らず、私達は実質二人きり。


話をすると言うのは先日の告白の件だろうか?


断りの返事に長居は必要なく、椅子はいらないと思うので早く聞いて帰ろう。


相良さんが椅子に座る前に立ち話で済ませて帰ろうと思い、立ち上がる。


二人きりと言う状況に胸が高鳴るが、今日で決着をつけよう。


話をすると言われたが私からは告白の話題を持ち出しにくく、先ずは違う話題へと振る。


「あの…副社長は?」


相良さんの顔をまともに見れず、下を向きながらの問いかけに
「副社長なら先程、お帰りになりました。私から話しかけるべきでしたが、業務中でしたのでためらっていたところを副社長が声をかけてしまいました。実は先日の会議室の件、副社長に見られていた様で…」
と返ってきた。


思い起こせば掃除中はドアは開けて置くので、誰かが通り過ぎたら聞こえるはずだ。


自分の感情優先で勤務中に何やってるんだろう…、私。


今頃になって反省するなんて、馬鹿だ。


「すみません…相良さんにご迷惑お掛けしてしまいましたよね?あ、あのっ…断りの返事ならいらないですからっ。もう、帰りま…」

「まだ何も言ってませんよ?」


後ろを振り向き帰ろうとすると、すかさず相良さんが止めに入った。


「どこか行きますか?」

「あっ、はい。…って、えーっ!?」
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