社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
時間が少なくなってしまったので定番のパンを購入し、手早く口に放り込み、お茶で流し込む。


パン屋さんの中は涼しくて、足早に歩いて火照った身体を冷やしてくれた。


会社に戻る途中、バッグの中からスマホが震えているのに気付いて取り出す。


"心配されなくても、エチケットブラシくらい持ってる"


相良さんからのメールだったが、お礼の言葉はない訳ね!


…つまり、私が余計な事をしたと言いたい訳?


"余計なお世話をしてすみませんでした"と返信すると"いえ、ありがとう"と間隔を空けずに返信が戻ってきた。


今更、ありがとうって…?


素直じゃないから良く分からない。


相良さんの攻略方法があるならば知りたい。


けれどもメールをくれたり、気にかけてくれるので付き合っているんだと実感は出来る。


一歩ずつ、歩み寄って行こう。


スマホをバッグに戻し、公園通りを抜ける。


相良さんと猫の姿は既になかったが、思い出すと微笑ましかった。


またお昼休みに通ってみよう、っと。


指摘されるのは覚悟の上、で───……

< 50 / 166 >

この作品をシェア

pagetop