社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
表情を崩さないままでのお誘いの言葉に驚きを隠せず、思わず大声を発してしまった。


相良さんは右手の人差し指を唇の前に立てて「お静かに」と言い、先に歩き出した。


私、これから相良さんと出かけるの?


何だろう、この展開は?


相良さんの後ろ姿を見ながら、後をついて行く事にドキドキし過ぎて、告白以上に緊張してバッグを持つ手に力が入る。


「どうぞ」


どこまで行くのかと思って着いて行くと社内の駐車場に入った。


車通勤とは聞いていたけれど、まさかの私が助手席に乗せて貰えるとは考えた事もなかった。


笑いもしないし表情は変わらないままだが、ドアを開けてエスコートしてくれる姿は凄く紳士的。


「ありがとうございます…お邪魔します…」


恐る恐る車の助手席に座り、力一杯握り締めていたバッグを太ももの上に置いてシートベルトをする。


相良さんの車内はとても良い香りが漂い、綺麗に掃除もしてある。


エンジンをかけると同時に車内に音楽が流れた。
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