社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
水上バスが水族館付近の降り場に到着後、そこから水族館までは少し歩く。


私の歩幅が小さい為、置いて行かない様にと手を繋がれる。


正確に言えば、手を繋いでいる訳ではなく、相良さんの左手の人差し指に私の右手の人差し指を絡めて歩いている。


暑いし、手汗が出たら嫌だなと思い、手を差し出された時に指を絡めた。


これはこれで恋人感があるな、と思う。


「……相良さん、色んなクラゲがいます!クラゲって良く見ると可愛らしいですねっ」

「クリオネーッ。ちっちゃいのに頑張って泳いでますね!」

「ペンギン居ましたよっ!写真撮りましょう」


水族館に入館後、一人ではしゃぎながら水槽に張り付く私の姿を見ては、相良さんの微笑が絶えない。


「……引率してる先生の気分なんだけど」


私の子供っぽい態度のせいで、相良さんはクスクスと笑いながら、スマホで写真を撮影してくれた。


「先生も撮ってあげましょうか?」とお返しに聞いたら、分かってはいたけれど断固拒否されたので音無し機能アプリを使って、隠し撮りに成功。


一通り、館内を回ったので、ランチをしてからお土産のショップを見渡す。


ペンギンとクラゲの小さなぬいぐるみが可愛くて、どちらにしようかと手に取って眺めていたら、横から取り上げられ、スムーズに会計を済まされてしまった。
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