社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
「その質問、2回目」


相良さんは質問には答えずにジンリッキーという、ジンがベースのカクテルのグラスを軽く振って、カランと氷のぶつかる音をさせてから飲み干した。


「…だって、相良さんがごまかすから、ずっと気になって…」


「俺が二股する様に見える?」


「み、見えないですけどっ、確認ですって…」


「……居たら、和奏とは一緒居ないよね」


テーブル上のグラスを両手で握り締めている私の表情を確認するかの様に少しだけ覗き込まれる。


だから、近いんだってば!


触れそうで触れないこの距離感がドキドキが増して、鼓動が加速する。


相良さんは緊張してないのかもしれないけれど、私には無理。


なるべく横を見ないように夜景を見ては、癒される。


東京に出て来て彼氏が出来たりしたけれど…今思えば、相良さんはその中でもダントツトップのハイスペックの持ち主。


高学歴、一流企業の社員、容姿端麗…全てに置いて私には勿体無いくらいなのだ。


「…相良さんもお酒飲めるんですね。いつも私ばっかりで申し訳なかったから、今日は電車で来たかったんです」


「ふふっ…だろうな、と思った。車出すよって言ったのに頑なに拒否すると思ったら、やたらお酒勧めてくるし」
< 65 / 166 >

この作品をシェア

pagetop