社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
「…っふぁ、…」


少し長めのキスから開放されて唇が離れると、息が上がっていて吐息を漏らした。


私の身体を両足で跨いで上から見下ろされる。


「和奏はどっちがいい?」


「……え?」


長めのキスだけで骨抜きにされた私の頭は、ぼんやりとしたまま、相良さんの顔を見つめる。


「和奏が思う幻想の相良さんと俺と…どっちに抱かれたい?」


…………絶句。


目の覚める様に質問に対して、返答に困る。


どっちに抱かれたいって何だろう?


抱かれる…?


「…ど、どっちも、…や、です。……心の準備も出来てないし、暑いから汗かいてるし…」


部屋に招いたのは、そーゆー事に充分になり得る事だけれど…、汗もかいててシャワーも浴びたいし…、本当は心の準備も出来てなくて…

それより、何より…。


「…す、好きって言われてません。…相良さんから言われてない…か、ら…」


ずっとずっと気になっていた事を言葉にしてしまった。


私の気持ちばかりが膨らんで、相良さんの気持がここにあるのか、ないのか、よく分からない。


デートしたり、優しくしてくれたり、行動では充分に愛情を感じているけれど言葉で言われないのは寂しい。


言葉は絶対的な支配力で、一度聞いたら、その時の表情、光景、声が脳裏に焼き尽くされて、忘れる事が出来なくなる。


支配力と共に安心感がある。


『好き』って言われたら、私だけが空回りしてない事も証明出来る。


魔法の言葉。
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