社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
「うん…そうだね、言ってない…」


「さ、相良さんが私の事をほ、本当に…す、好きって思ってくれるまで…し、したくありませんっ!」


相良さんは冷静に対処するかの様に『言ってない』とサラリと言い除けて、私の返答を聞いた後にクスリと笑った。


思い切って心の内を打ち明けたのに、何だか空回りしている気がした。


「…ちょっとからかっただけだから。本気で"する"気はなかったから…ごめん…」


な、な、何ですと!?


からかった?


本気で"する"気はなかった?


私はこんなにもドキドキして、頭の中は相良さんに支配されているっていうのに、この後に及んで、この男は───……


「……い、って…」


バチンッ。


頬を叩いた鈍い音が部屋に響く。


頬を叩かれた相良さんは起き上がり、「…悪かった」と謝ってきたけれど、私の腹の虫は治まらず、膨れっ面のまま、再生したままで進んでしまったドラマを見てない部分まで戻す。


好きっても言ってくれないし、からかっただけって言ったし、相良さんは何を考えてるのか分からない。


私、まるで、相良さんの暇潰しの玩具みたいじゃない。
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