社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
溜息をついたら、大きかった様で奈子ちゃんに指摘される。


「先輩、おっきな溜息ついたら駄目ですよ。幸せが逃げちゃいますよっ!」


そう言って肩をポンポンと叩かれ、
「ほら、副社長と相良さんが来ましたよ。会話は聞こえないけど様子は見えるから、覗き見しましょー」
と言われて相良さんの居る方向を見る。


会話の内容は分からないけれど、広いフロアに微かに響く笑い声。


行き交う人の足音に掻き消され、会話は聞こえないけれど、表情から察するに彼女は楽しそう。


私と奈子ちゃんが眺めているとチラリと相良さんがコチラを見て目が合ったけれど、直ぐに目を反らされた。


彼女は楽しそうに笑い、相良さんの眼鏡を外して、前髪をクシャクシャと触ったので、ワックスで後ろ側になびかせていた髪型が崩れて、土日のラフなスタイルの相良さんになった。


彼女の手を払い除けて、睨みつけた様に見えた。


「あっ!相良さんって…眼鏡を外して前髪おろすと若く見えますね。同年代くらいに見えるし、また違った格好良さがありますね!」


ミーハーな奈子ちゃんは、相良さんの今の姿にキュンとしたのか、興奮して話し出したので、人差し指を唇に立てて、「シーッ」と注意をした。


注意をされた奈子ちゃんは流石に声が大きかった事に気付き、慌てて口を手で覆う。
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