社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
「お疲れ様です。ちょっとだけ外出して来ます。一時間以内には戻る様にしますので…」


副社長自らが受付カウンターに出向き、要件を伝えて去って行く。


奈子ちゃんが「間近で見たーっ」と喜んでいるさなか、副社長がUターンして戻り、手招きして呼ばれたので直ぐ様、立ち上がり近寄る。


「…大丈夫だから、心配しないで待っててね」


小さな声で伝えたその後で、

「会議室、週明けに使うので準備お願いします。手すきの時で大丈夫なので宜しくお願いします」

と普段通りの大きさの声で言われた。


週明けから会議室は三日間に渡り、使用する。


会議室の準備は明日する事になっているので、恐らく前者を伝える為だけのカモフラージュで言ったのだろう。


相良さんを良く知っている副社長だからこそ言える、大丈夫だよって言葉。


だからこそ、信頼して安心しきっていたのだけれど…、

事は完全に悪い方向へと向かっていたらしい。


副社長と相良さんは約束通りに1時間以内に会社に戻り、あの人の姿はなかった。


定時時刻間近、来週の会議に向け、業者から届いたペットボトルを会議室へと搬入していると廊下で相良さんに出会った。
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