社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
運転しながら頭をポンポンとされて、昨日の泣き腫らした夜が嘘だったかの様に心が満たされる。


「…だって、夕方に会った時に機嫌悪くされたし、それに彼女ととても親しげでしたから、ヤキモチというか、とても、ふ、不…安になりました」


「…悪かったよ、謝る」


「…他に言う事ないんですか?」


相良さんを睨みつけて怒った様に話しても、クスクスと笑われて、

「あぁ、気が向いたら話す…」

と言われ上手く交わされた。


拗ねてみたつもりだったけれど、相良さんは隠そうとしているのか、ただ単に今は話したくないだけなのか、あの人の事は教えてはくれない。


「…気が向いたらって…?」


「過去の事だから、今の俺には何にもやましい事はない。和奏と一緒に居るんだから、今はつまらない話はしたくないだけなんだけど?…だから、後でまとめて話す。それでもいい?」


昨日の夕方の高圧的な態度はどこにいったのかと思うほどの甘さで、チラリと横目で私の方を見て微笑む。


心臓の鼓動が飛び跳ねてヤバイ、ドキドキが加速する。


「…相良さんはズルいです。直ぐに丸め込もうとする…」


相良さんの不意打ちには適わずに頬を赤く染めた私は下を向き、顔を隠そうとした。


「まぁ、そう、いじけるなって…」


「………!?」


そんな私に気付いたのか、ちょうど信号待ちで停車した時に唇に柔らかい感触を感じた。


「わ、…さ、相良さん!?」


「……そんなに反応されたら、こっちが恥ずかしくなるからっ」
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