社内恋愛の絶対条件!"溺愛は退勤時間が過ぎてから"
条件9*ハイスペック彼氏に所有されるなら自分磨きをする事!
現在の自分が置かれている状況が分からない───……


食事交代が終わり、お腹いっぱいで眠くなりそうな午後。


受付カウンターの電話が鳴り、秘書室からの電話だったので心踊らせて電話を受けた。


耳に入る声は愛しの相良さんの声で、「退勤後に副社長室に来て下さい」とだけ伝えられ、返事もする間も与えられずに電話を切られる。


内線の声の主が私だと気付いてくれた事は喜ばしい事だが、言いたい事だけ言って切るのは、秘密の彼女だとは言え失礼な人。


退勤後、副社長室のドアをドキドキしながらノックすると…副社長と相良さん、他にもう一人の男性が応接テーブルに集まっていた。


「お疲れ様です、失礼致します」


「胡桃沢さん、お疲れ様。紅茶とコーヒーどっちが好き?」


「えっと…コーヒーが好きです」


副社長室に入ると副社長が優しく出迎えてくれてソファーに座る様に促された。


「相良、胡桃沢さんはコーヒーだって」
「…かしこまりました」


「わ、私、自分で入れてきます!」
「これも仕事の内ですから遠慮なく…」


「大貴、俺も紅茶のお代わり!」
「かしこまりました」


立ち上がろうとした私を阻止した相良さんは仕事モードそのもので、眼鏡をかけてクールを装っている。


もう一人の男性が名前で呼んでいるけれど、相変わらずの無表情で笑わず、スタイルを崩さない。


休日の甘さは何処にも感じられない。


飲み物が届く前に広げられた書類。
< 99 / 166 >

この作品をシェア

pagetop