満月の扉
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「……陽平はあのきれいな星がほしいのかい?」
優しく聞いたおばあちゃんに俺は何回も頷いた。
「だって宝石みたいできれいじゃん。」
「あはは。そうだねぇ。確かに宝石みたいにきれいな星だねぇ。」
「でしょでしょ?きれいで宝石みたい…ううん。宝石以上にきれいだ!だからもし取れたらおばあちゃんにプレゼントしたげるね。」
おばあちゃんも同じ考えで嬉しかったのか俺はおばあちゃんに向かって目を輝かせながらいつもより大きな声で言った。
でも取れるはずなんかなくて、まだ幼い俺は星がどんなものかもはっきりわかっちゃいなかった。
「それはありがとう。楽しみにしとくよ。」
優しく笑っているおばあちゃんに俺は「まかせといて」と言って得意気に胸を叩いた。
おばあちゃんは優しく笑いながら夜空を見上げた。
そしてすーっと手をゆっくりと上に上げて、
「でもおばあちゃんはあの星のほうがほしいわねぇ。」
そう呟いた。