満月の扉


単に星とか月とかが好きなだけだ。天体望遠鏡とかは好きなことに没頭するために集めただけだ。


まぁそれを属にマニアとか呼ぶんだが。


「……〜♪〜」


近くに置いていたラジオから優しい曲が流れる。


よくこうしておばあちゃんと一緒に月みて話したなぁ。


肌寒い冷たい風が秋を知らせてくれる。
俺はキシキシと時々音のなる床板に背中をつけて、全ての体重をあずけた。


真ん丸の月と星たちが俺をのぞいてる。


俺のおばあちゃんは俺のおばあちゃんでもあり、俺の一番の『親友』だった。


両親がどちらとも仕事をしていて、どっちも夜遅くに帰ってきていたので俺はなかなか両親に会えなかったし、忙しそうにしている両親を見ていて『甘える』という行為はできなかった。


でもおばあちゃんは違った。


おばあちゃんは俺に色んなことを教えてくれた。


おばあちゃんには話せた。


おばあちゃんには笑えた。


おばあちゃんには甘えることができたんだ。




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