満月の扉



「……〜♪…」


ラジオから流れる優しい曲は小さいときの俺とおばあちゃんのことを思い出さしてくれる。


あれからよく一人でも屋上にかけあがって行った。


そのたびにかあきないかってくらい夜空を眺めた。


ラジオの優しい曲と共に…。


まぁ、これほど両親が仕事しててよかったとおもったことはないな。


てか今もいないし。


両親が仕事好きだとこういう時に得だな。


風で雲が流れ、雲に隠れていた月が顔をだす。


月明かりがライトのように街を照らして、優しそうに微笑んだ。


そういや今日は満月だなぁ…。


俺はポケットからケータイを取り出した。


『10月10日(月)……』


あっ、明日っておばあちゃんの命日…。


もう一回満月を見るとなぜか悲しそうに見えた。




< 8 / 23 >

この作品をシェア

pagetop