彼女の真意
お兄ちゃんみたいな人

告白

何回めだろう。

「ごめんなさい。好きな人がいるの。」

「そうなんだ。聞いてくれてありがとう。
その……好きな人って…?」

「お兄ちゃんみたいな人。」

私は小さなウソをつく。この一言でみんなそれ以上は言わなくなる。
誰もお兄ちゃんに敵わないって思うらしい。

……………………………

「みあ。おかえり。また?」
「うん。いろいろとまた…。」
「そっか。」

教室に戻ると、由奈が待っていてくれた。

「また、お兄ちゃんみたいな人って言ったの?」
「・・・うん。」

私のお兄ちゃんは学内では有名人だ。
妹がいうのもどうかと思うけど、
かっこよくて勉強も運動もできる。そのうえ、気さくで優しい…
悠斗お兄ちゃんは自慢のお兄ちゃんだ。

でも、私は好きな人がいる。
「告白断るのって、何回やっても嫌だぁ。
 お兄ちゃんみたいな人が好きっていうようになって減ったけど…」
「みあ、好きな人いるもんね。でも、なんでその理由なの?」
「何年か前、ちゃんと答えたらクラス中で私の好きな人探しが始まったの…」

そう、初めて告白されたとき、当時好きだった人のことを答えた。次の日から私の好きな人探しが始まったのだ。
『背が高くて、優しくて、思いやりのある人』
クラス中に私に好きな人がいることと、その特徴が広まってしまった・・・。
そのうえ、次々告白されるようになった。『優しくするから付き合って。』
結局、誰も私の好きな人にたどり着けず、いつのまにかその噂はなくなった。

それからも何度か告白された。いろんな理由で断ったけど、なかなかあきらめてくれない人もいた。
いろいろ考えてたどり着いたのが『お兄ちゃん』だった。
有名人だけあって、お兄ちゃん効果はてきめんだった。恋愛対象にはならない。でも、すごい人。

「なるほどねー。みあのすきな人とはちょっと違うしね。
 で、どうなの?告白とかしないの?みあ、ずーっと前から好きなんでしょ?」
「そうかなぁ…て、告白とかそんな勇気ないよぉ。絶対友達としか思われてないもん。」
「そんなの、わかんないよ。それに、クラスはなれるかもしれないじゃん。そしたら話せなくなるよ。
 来週バレンタインだしチャンスじゃない?」
「無理だよ。断られて、友達にさえ戻れなくなったら、悲しすぎる。」
「じゃぁ、ほかの子があいつの彼女になるの黙ってみてるつもり?勇気出さなきゃ、何にもできないよ。」
「う…。それは嫌だ。」

でも、私は一度ふられてる。













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