Lingerie



それを理解したところで告白に対してときめく胸など持ち合わせてはいない。

なにかおかしな事になったものだと頭を掻きながら改めて振り返った程に。

そうして今度はしっかりと体事彼に向けて対峙して、小さく息を吐くと、

「何で私?」

「何でとは?」

「仕事以外で絡んだ記憶もない、楽しく世間話をした記憶もない。私に至っては愛想もなくて融通も利かないどっちかと言えば鼻つまみ者。『何で?』って聞くのは不思議じゃないでしょ?九条爽くん」

「勤務中に仕事の内容以外で絡んで、世間話もして盛り上がった記憶があれば告白しても不思議に思われないんですかね?〝水守 寧々(みもり ねね)〟さん。まぁ、社内一女性陣の悪評高い俺っていうところは変わりませんが」

悪評高いってところは自覚あるんだ。と、多分注目すべきところとは違う場所に意識を走らせるもすぐに軌道修正。

とりあえずは目の前の突きつけられた告白をどうしたものかと悩むべきだろう。

悩む……べきなのよね。

それなのにまともに悩む事をしようとしない脳内に浮かぶのは『いいんじゃない?』と投げやりな自分の心の声だ。

だって、丁度いいじゃないか。

欲しいと感じていたじゃないか。

そんな自己完結した心の声が自分の中にだけ反響していた沈黙の場。

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