Lingerie
それをこんな風に暴かれるなんて、しかも、九条君に。
一瞬は思考も羞恥も追い付かず、それでも次の瞬間には対応しきれないくらいのそれらに満ちて。
結局はどの感情から消化していいのか分からぬ困惑で頭のフリーズは継続してしまい、更にはそんな空気を読むはずもない九条くんだ。
むしろそんな私の表情なんて物最早彼は捉えていなかったのかもしれない。
絡まぬ視線の先はひたすらに私の胸元で、それに気が付けば余計に羞恥が煽られ咄嗟に胸元を隠してしまいそうになったのに、
「隠すなっ、」
「っ……」
ほんの少し張った低い声音。
怒鳴られたというほどの響きではなかったのに、ぴしゃりと言いきられた一言にまるで抑制の催眠でもあるかのように動きを止めてしまった。
自分の心音が耳の奥から響いている気がして煩い。
九条君の視線が恐ろしく熱い気がして見つめられた個所からじりじりと焼け焦げているような感覚になる。
そんな恐ろしく綺麗でどこか貪欲な双眸で捕食しないで。
ただ見つめられている行為だというのに骨の髄まで食われつくされているような感覚に陥るなんて。
どのくらいそんな時間を過ごした?
いや、きっと分にも満たない僅かな間であった筈なのに、恐ろしく長く食われていた気がした。
実際は指先一つ触れられてもいなかったというのに。