Lingerie
それを私より早く冷静に理解したらしい彼が、ヤレヤレと息を吐きながら腕を組んで私に続きを促してくる。
そんな反応にも見事煽られて、最早込み上げる涙を隠すでもなく憤怒の表情で彼に詰め寄ると、
「中途半端に本気で『好き』とか言うなっ!」
「……中途半端?」
「中途半端じゃない!『体目当て』な癖に、『体しか』目当てで本気じゃない癖に、」
「……体しか?」
「わ、私本人までは好きじゃない癖にっ……それなのに……っ…体に触れる時ばっかり『本気』で好きだとか言わな…__」
あまりに感情的になりすぎていて気が付いていなかった。
自分のこみ上げてくる感情の音が大きすぎて聞き取れていなかった。
卑屈な感情で視線を落としていたのも間違い。
その間違いに気づかされたのは、『ガッ』と自分の真横の壁に九条君の蹴りが炸裂した瞬間だった。
そうしてようやく冷静に目の当たりにした、不機嫌をゆらりと双眸に揺らす黒い彼には『ひぃぃ』と怯む感情しか浮上しない。
そして追って響く、
「はっ?」
と、嘲笑にも取れる疑問の響き。
待って……超恐い。
そう思ったところで九条君だもの。
私の動揺なんて汲み取っては……、
「本気じゃねぇとか馬鹿な事言えねぇように……今すぐ剥いで犯しきってやろうか?」
「ヒッ……ご、ごめ……」
くれないですよね、そうですよね。