Lingerie
「本当、抱かなくて正解だったな」
「っ…!?」
「下手に抱いてたら絶対に『都合の良い人』に括って今程純粋な恋心向けてくれてなさそうだもんな、ミモリさんは」
「っ…まさか……私が焦れるの分かっててあんな…」
「寂しがりなミモリさんの恋心引き出すには人肌や甘さが一番かと思いまして。……効果覿面。『あなたに触られるのが死ぬほど好きだからあなたに触られるのが死ぬほど嫌いですっ』」
「っ……」
「かっわいい~。これだけでしばらく抜けそうなくらい良い顔と良い声してましたよ、ミモリさん。でもまさか俺が好きすぎて別れを切り出すまでになるとは、」
「っ~~~」
こっ……この男……。
長い前髪を耳にかけて、クリアに魅せてくる双眸は悪びれもせずにククッと笑う。
ダメだムカつく!心底ムカつく!
そう思うのに……
「っ……」
「好きですよ。……ミモリさんの全部」
また……言葉より早く。
悔しさに悶絶する私の反応などお構いなし。
決して外では見せぬ口元の弧を私にだけだと改めて刻むように、チュッと耳に押し当てるとこちらの怒りを一瞬で溶かすような一言を囁いてくる。
うっかりその甘さに流されて、ジワリと熱を持つ感覚に悪くないなんて酔いしれ始めた刹那に、