【完】たとえ他人でもまた君に恋をする
「よろしくお願いします」
「ありがとう」
私の左手をとり、薬指にちょっぴり冷たいリングを通してくれた。
ちゅっとその指輪にキスをしてくれた。
「俺とお揃い」
悠は自分の手を見せてくれた。それは、右手にはめられたもの。
「本当だ」
「けど、今日から左手だな」
「………ッツ……」
涙が頬を通ってゆくそれを、丁寧に拭ってくれた。嬉しすぎだよ。
「うっ……苦しい……」
「大丈夫か?救急車」
息がだんだん苦しくなっていく。
何で、こんな時に苦しくなるの……。
まだ、生きていられるよね。
まだ、死になくないよ。
まだ、生きていたい。
まだ、悠と一緒にいたい。