【完】たとえ他人でもまた君に恋をする
お弁当箱を包み、階段をおりていく。
けど、私は教室へ戻らない。
戻ってもつまらないだけ、行く意味すらわからない。
途中で、廊下を曲がり図書室へ向かう。
ここが、一番好きなんだよね。
みんなは、午後の授業を受けている。
誰もいない静かな部屋。
本棚に並べてられる小説を手に取り、机に座りながらじっくりと読む。読むのが小さい頃から好きだった私はこの時間は幸せだ。
友達なんて、恋人なんていなくたっていい。
自分が幸せだと感じる時間さえあればよかった。
涙が頬を通る。
この小説の最後の女の子が死んでしまうのだ。こんなにも、しあわせな気持ちで死んじゃうなんていいな。私はきっと、何も思わず死ぬのだろう。
「何、泣いてんの?」
聞こえないはずの声が聞こえてくる。
それに、臭ってくるいろいろな香水の匂い。