Lingerie~after story~
ニヤリと笑って見せた姿にさっきの愛らしさなど皆無。
私の未熟な危険予測は危険が真正面に迫らないと働かないらしく、すでにその信号をなり響かせたところで今の自分は蜘蛛の巣に絡まってもがく虫に過ぎないのだろう。
それを証明するように自分が混乱の内にサクサクと室内に歩み進めたいたらしい九条くんが、明かりも灯らないリビングをすでに慣れた感じにスルリと進んでソファに私を下ろしてきた。
あっ、ソファ。なんて思ったと同時に自分の頭の両脇に伸びた彼の腕、私の足を跨ぐ体。
下から見上げるアングルで捉える彼の持ち前の妖しさは、明かりが灯らずとも鮮明に捉える程色が濃い。
そこにチラリと覗いたのは唇を舐める扇情的な赤い舌。
直後に残っていた片側の前髪も横に流し耳にかけてしまえば、
「っ……」
私だけの……九条くんの完成だ……。
「せっかく俺なりに抑制してるってのに、」
「っ……」
『どうして煽るかな?』そう続いて問うように目を細めて笑いかけてくる姿は飲み込まれそうになるほど妖艶で綺麗だけども。
「か、勝手に煽られるな!しかも断りもなくいきなり抱え上げて組み敷くとか…」
「触っていですか?」
「っ……確認取ればいいって問題じゃ、」
「嫌ですか?」
「っ……」
「俺に触られるの……嫌い?」
「っ~~~」
九条くんは……狡い。
その選択肢は選択肢であって選択肢じゃない。