Lingerie~after story~
「……どこが大人よ。今時小学生でもそんな不器用なデートの約束してないわよ。盛大な惚気にしか感じなくてゴミ箱にポイッと捨てちゃいたい」
「心からの皮肉った一言をありがとう」
朝の流れを事細かく説明したわけではない。
ある程度搔い摘み必要性のあった部分だけ説明したつもりであったのにイズミからしたら眉間に皺を寄せる程いい迷惑な惚気話であったらしい。
この部署に姿を見せたのは自分の商品宣伝の打ち合わせの為であったらしい、その用事が済んだ帰り際に私のデスクに来て声をかけてきたわけだ。
それを逆にとっ捕まえて、休憩スペースに引っ張りコーヒーブレイク。
良い店はないかと相談した流れでこの話は持ち上がったのだ。
「でも、何で今更デートよ。早くも倦怠期で新しい風でも吹かせたくなったわけでもあるまいし」
「それは……確かに倦怠期とは違うけど……言ってしまえば停滞期の解消というのか……」
「それは面白そうな匂いがプンプンね。何よ、停滞期って。あ、セックスレスと処女問題?」
「ねえ、そのデリカシーない感じに人の恋愛事情さらっと切り込むのやめてくれない?
どっちの響きも普通の人が振り返ってまで驚愕示すようなものだから。
過剰には焦りはしないものの知られて得する話題でもないから、誰も居なかっただろうかと周りを見渡し一息。
そんな私に全く悪びれない感じに『ごめんなさいね~』と意地悪く笑って見せる姿には更に大きく溜め息を漏らして額を押さえてしまった。
「で?結局珍しくあんたから意気込んで慣れない行動した理由って何なのよ?」
「……大人の…余裕でね、九条くんを驚かせてやろうと思って」
「はぁぁ?」
「デートでスマートにリードして、いい雰囲気に持ち込んだらこっちからキスしてやろうって思ったのよ」
特別ドヤッとしたつもりはない。
それでも、どこまでも私の他人からの見た印象のままな隙なくクールな女を模して言葉を弾けば……、
「……頭痛い」
頭を抱えられたけど。
ガチに呆れ全開な細目と溜息が切ないし。