Lingerie~after story~
「っ……なんでよ!?」
「あんたは初デートに意気込む中学生男子?デートにスマートにリードとかは男に任せて女なら可愛いに徹しなさいよ。…だいたい、何そのシンプルで飾りっ気のない格好」
「えっ?いや、これでもそれなりに選別して如何にカッコ綺麗に見えるかって…」
「デートにそんな服着るんじゃないわよ!」
「なっ、だって…大体この服くれたのイズミじゃない!私の服の大半はイズミが私の為に作ってくれた物ばっかなんだけど!?何?!似合わないものくれてたってこと!?」
「私が似合わないものあんたにあげるわけないでしょ?そうじゃなくて、デートには不向きだっていいたいのよ。大体…髪は?化粧は?まさかいつも通りの薄化粧に一つ縛りじゃないでしょうね?」
「いや、これでも化粧はいつもより濃いめだし…さすがに眼鏡はと思ってコンタクト持参してるわよ」
「………」
何でそんな全力で残念顔よ。
最早かける言葉すら尽きたかの様に無言で頭を抱えるイズミを見つめること数秒。
「…あんた、仕事いつもより40分は早く切り上げて3階のフィッティングルームに来なさい」
「はっ?」
「私が本当のデートスタイルに磨いてやるって言ってるのよ!30分で誰もが振り返るくらいに美人に仕上げてやろうじゃない」
「イ、イズミ?瞳孔開いてない?」
ああ、イズミの美意識スイッチを悪戯に踏んでしまったらしい。
すでに呆れも飛ばした姿はむしろ後々の着せ替えタイムにワクワクイキイキとして見える。
頼もしいんだか不安なんだか…。
いや、ここは素直にオネエ様の好意に甘えようと、意識を切り替えその時間までは真面目に勤務に身を戻した。