Lingerie~after story~
だってうっかり……。
「ミモリさんの中身まで全部触りつくしたい、」
「っ……」
うっかり、催眠術にかかったかのように全てを許してしまっていいんじゃないかって逆上せ上がってしまう。
静かに、それでも確実に詰めている顔の距離に、唇に、羞恥心は逃げたいと騒いでいるのに何故か抗えずに前を向いたままで。
いつも巧みで甘い毒を吐くその唇は…熱い?それとも、冷たい?そんな疑問すら浮上し始めていた刹那。
催眠術を解く合図の様になり響いたチャイム。
そして冒頭。
我に返った瞬間、『危ない』と今更爆発的に跳ねる心臓に痛みを覚えた程。
そうして追って津波の様に押し寄せるのは羞恥心ばかり。
九条くんとキスしてしまいそうだった、。その先も危なかった。と、想像するだけで居た堪れない行為の回避に九条くんには悪いけれど心底安堵の息を吐いてしまう。
なのに不機嫌全開な彼は来訪者という現状を理解してもなかなか受け入れてはくれず、一向に退いてくれない姿にはさすがに困る。
「ちょっ、本当に退いてって、宅配かもしれないじゃない」
「世の中の宅配システムには再配達って働く人間に優しい便利な物があるんだよミモリさん」
「そうね。でもそれは真っ当に働いている人たちの為のシステムであって、乳繰り合ってるだけの男女の為に再配達なんて配達員の人の手を煩わせちゃいけないと思うの」
「チッ、応答出来ねえように今強引に剝ぎ取って裸にしてやろうか?」
「どんだけ横暴!?」
何が恐いって、本気で剥ぎ取る勢いで私の下着に伸びる彼の手と不機嫌な表情が。