Lingerie~after story~
はて、私は今どういう感情によってこの胸に晴れぬ靄を渦巻かせているのだろうか?
モヤモヤ、イライラ、ムカムカ、憤りにも似た感情の起伏だけども、決して憤りと言いきれないのはその中にチラつく感情のせいだろう。
まるで見えない結界の様だと思ってしまう。
近づきたいのに近づけない。
決してその体を拘束されているわけではないのに見えぬ力に制されこれ以上距離を狭めることが出来ない。
そのもどかしさがきっと胸の内側に靄をかけて、抱きたくもない負の葛藤を渦巻かせているんだ。
会いたい。
そんな事を思ってこの位置で足踏みをして諦めるのは何日目だろうか?
何日目?なんて疑問を抱く程、自分がアホみたいに足を向けている事実に気が付き余計に重苦しく息を吐きだしてしまう。
でも、本当に何日よ?
『こんな安っぽい生地集めて何作る気だお前ら?学祭の衣装か?ああっ?』
ああ、今日もその憎まれ口は絶好調に健在だと言うのに。
中を覗く事すら叶わないデザイン部の入り口付近の壁に寄りかかり、中から響く恋人である人の不機嫌な声音に思いを寄せる。
末期すぎる。
末期すぎると分かってはいる。
でも……、
「……いいな、九条くんに怒られてて」
……なんて、どんなMな発言よ、わた…
「あんたいつからMっ子になったのよ?」
「っ……」
捻くれた末期発言は本当に控えめにぼそっと零したつもりのモノであった。