Lingerie~after story~
それを知っているから『エロイ』なんて指摘で苛めてくるんでしょうが!?と、挑み返すような叫びを上げたのは心の中でのみだ。
実際は至近距離にあるイズミの気配や妖艶さにあっさりと威圧されて、只々よく分からない震えと羞恥で壁に縋りつくのが精一杯。
そんな私がどうやらイズミ様のツボを得たらしく、解放してくれるどころかニヤリと弧を強めた口元が更に距離を埋めると耳元に寄って。
それに警戒働き肩を竦めたとほぼ同時。
「【俺】の事、意識して悶えてくれてるの?……寧々」
「っ~~!!!?なっ…」
今、『寧々』呼びました!?
秘め事の様に耳に直に吹き込まれた声音はオネエ口調の時より低くて妖しい。
どこか期待交じりで誘惑的だと感じた刹那に念押しの様に響かされた自分の名前にはものの見事に何か鋭いものが心臓を貫通した。
…ような、その位の衝撃でイズミを振り返り間抜けであろう赤面顔を晒してしまった。
「やだ、美味しそうな顔。ここが会社なのが残念なくらい」
「っ……」
そうよ……そうよ!?ここ会社よ!?
こんないかがわしい展開繰り広げてたらいけない神聖な職場よ!?
……あ、でも、そんな神聖な職場で九条くんに乳揉まれた記憶あったっけ……。