Lingerie~after story~
「………つまりは、お約束な九条不足なわけね」
「お、お約束って……」
「お約束でしょ。話を聞けばどうやらあんた達2人もあの日以来まともに接点を持っていない。すぐ戻るって言った割に何やら久しぶりの家族タイムに九条が引っ張られてあんたは一時的一人暮らしへ逆戻り。唯一顔を見れる筈の会社に至っても九条の方から『仕事以外で寄り付くな』と念押しのメッセージを送りつけられ。そんな諸々の事情から……地縛霊化」
「なんか違う。……いや、あってるんだけどなんか抉られる言い方よね」
確かにイズミの言う通りの内容でここ数日ひたすらに不満と不安でモヤモヤしていたわけだけど…。
場所を変えてのカフェテリア、私はアイスティーイズミはアイスコーヒーを前に、ここ数日の葛藤を恥を晒す勢いで打ち明けたのは数分前。
そうして呆れたようなイズミの口から弾かれたのは先程の様な総まとめだ。
「そう……そんな美味しい隙がここ数日続いてたのなら早く言ってよ。喜んで手を出しに出向いてたのに」
「っ……」
「冗談よ。……半分ね」
「半分は本気って事でしょう!?」
「当たり前じゃない。言ったでしょ?下心大有りだって」
「ねぇ、それ真顔で本人に宣言するような事なの?」
「安心して、相談の方だってちゃんと真面目に乗ってあげるわよ」
いや、どう安心していいのか分かんないんですけど?
衝撃的な告白を過ぎれば完全に開き直ってその男っぽい本性をこれでもかとぶつけてくるイズミには、まだ対応策がなくいちいち戸惑って固まってしまう。
そんな反応すら楽しいらしい姿はクスリと満足げに笑って見せているけれど。
「でも、九条の事情も全部分かってんでしょ?」
「まあね……」
「分かったうえでのその葛藤だから厄介なのね」
「そこよ。それなのよ……」
分かってますとも。
九条くんだって家族があるわけで、久方ぶりのお母さま帰国とあれば実家の方で色々と用事も出来るでしょうよ。