Lingerie~after story~
本当に忘れた頃に思い出させるように登場する【イズミ様】にはその都度心臓が破裂する勢いだ。
【俺】なんて一人称を低い声で響かされる度に扇情的な記憶が勝手に脳内で再生されて、思わず自分の指先が唇に触れてしまっている程。
今はアイスコーヒーのストローを咥えている艶やかな唇を重ねられたのか……。
無意識にそんな濃厚な思考に一人でドキドキと悶えていたタイミング。
「まあ、諸々仕方ないと言えば仕方ないのよね」
「えっ?」
「九条よ。あいつが自主的に家族の時間に徹しているというより……あ、ほら、噂をすれば、」
言葉の途中、チラリと動いた視線と同時にピッと指先で示された背後。
『えっ?』なんて声を上げるより早くカフェテリアのざわめきの気配が少し変わったような感覚に陥った。
そんな感覚を得ながら振り返った自分の視界に捉えたのは、
「っ……」
「あらあら、見目麗しいほど王子様の不機嫌明確ね」
「っ~~」
「その隣の女王様も相変わらずお姫様の如くで愛らしい事」
「っ~~~~」
「……ダークミモリン出ちゃう?」
「出ないっ!!」
「出てるじゃない」
本当分かった上でどこまでも意地の悪い男め。