Lingerie~after story~




九条くんの隣は居心地がいいよ。

凄く凄く…。

恐い時も勿論あるけれど、でも私の意識が九条くんだけにある時はどこまでも甘い。

それだけで良いかなって心底思うのよ。

鉄柵に身を預け、そんな他愛のない会話をして飛び立つ飛行機を何機見送っただろうか。

不意に不規則な風が絡めとってきた香りに鼻孔が擽られ、どこか記憶に新しいそれの元を探るように視線を動かせば視界に収まったのは隣で飛行機を眺めている九条くんの姿だ。

それを確かめる様に彼の近くに顔を寄せ、スンっと香りの確認をしてしまう。

「えっ?何?いきなり……汗臭い?」

「ううん。むしろ……なんかいい匂いだなって。昨夜も虚ろに良い匂いだなって、」

「ああ、コレか。……良い香りって事は寧々さんも気に入った?」

「うん、くどくなくてさっぱり。甘いんだけど男の人でも使えちゃう絶妙さだね」

「そう言う風に作ってもらったからね」

「作ってもらった?」

「うん、香水のオーダー。で……遅ればせながらの誕生日プレゼント」

「えっ!!」

「でも、俺も共有する気だったからプレゼントにならないかな?なんか他のモノ用意しようか?」

「っ…いい、いい!これでいい!これが良い!……っ…うわっ…ありがとうぅぅ」

「どういたしまして……って、まだ物渡して無いんだけどね。家に帰ったら渡すね」

ああ、もう……本当にこんなに幸せ感じていいモノなんだろうか?


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