Lingerie~after story~
ああ、コレ……。
もどかしいのよね。
普段は薄いと感じる布地を厚く感じる瞬間。
実際の感触を記憶してしまっているが故に『これじゃない』と不満が募る。
その段階で……私の負けだ。
不満の中心が『キスされた』事から、『このキスじゃない』という形に切り替わっている。
そんな不満さえ私の双眸から読み取っての含み笑いだろうか?
「……フフッ、後でね」
「っ……何が?私何も言ってないんだけど」
「そう?じゃあしないし、分からないままでいいよ」
「っ~~もう、起きる」
素直じゃない私を理解した上での意地悪には、こちらもあからさまに臍をまげて見せて体を起こす。
その瞬間にツキンと痛んだ腹部は体調に素直で、無意識に眉根を寄せた時にはベッドに逆戻りさせられていた体。
あれ?なんて疑問を浮かべた視界にはすでに答えの様に覗き込んでいる姿があって、私の眉間を優しく指の腹が撫で崩したかと思うと、
「いいよ。もう少し寝てて」
「へっ?でも朝食……」
「サンドイッチでいい?」
「……」
「あとは……いつもならアイスコーヒーだろうけど、今日に限っては温かい紅茶かな?」
「っ……も、申し分ないです」
ってか………最高すぎやしないですか?九条くん。