Lingerie~after story~
キッチンカウンターに置きっ放しであった携帯に手を伸ばせば、着信表示は『ミモリさん』の名前と顔写真だ。
やっぱり泊まる流れだろうか?なんて予測をし、コーヒーにグラニュー糖を一杯入れながら響かせた声音はいつもの調子であったと思う。
「はい、どうしたの?」
『_________、』
「寧々さん?」
確かに向うと繋がっている雑音は耳を掠めるのに、一向に響かない彼女の声音には怪訝に眉を顰めてしまった。
再度呼んで尚響くのは息を飲んだ様な音。
何か事情あって話せぬ状態なのでは。と、危惧した刹那、
『九条…くん、』
「寧々さん?大丈夫?何かあった?事故とかに巻き込まれてない?今どこ!?」
『……実家、』
実家。
答えられた居場所の安全さには心底安堵はするけれど、どうも異常さを感じる彼女の弱々しい声音。
音を発することに躊躇いがあり、ようやく発したであろう言葉も聞き取りにくい程小さく震えている。
今にも泣きだしそうな程。
何があった?
呼び出された急用の内容がそれほど深刻な話であったのだろうか?
姿が見えない分不安が募って、慰める様に触れられぬもどかしさに目を細めたと同時、