Lingerie~after story~



『ごめ……九条…くん、』

「寧々さん?本当にどうしたの?何で謝ってるの?」

『わ、私……かえ、帰れない……』

「えっ?…いや、いいんだよ?天気も天気だし今夜は実家に__」

『九条くんのところに、』

「……………はっ?」

ようやく告げられた本題。

それでもあまりに付属する言葉が足りな過ぎて……いや、意味合いは理解してもそれを理解するのを俺の頭が静かに拒む。

『帰れない』

ただ、一日の不在にここまで彼女が憔悴しきる筈がない。

今にも泣き崩れそうな声音が十分に言葉足らずの詳細を補足しているようで。

聞きたくない。

そう思って焦ると言うのに…。

無情…。

『帰れ…ない』

「寧々…さん?」

『っ………私…………婚約したみたいなの』

「っ……」

『九条くん………ゴメン……』






ああ、雨脚が強まった。

尽きることなく、止めどなく。

彼女の心の反映の様に。




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