Lingerie~after story~
「とにかく、こんな所で話し込んでても仕方ないわ。上がって、お爺様もお待ちよ」
「うん、」
「それにしても驚いちゃった。まさか寧々ちゃんが徳嶺のおじ様と知り合うなんて」
「私も驚いた。本当に偶然の出会いで、そんな凄い方だとは思ってなくて」
「フフッ、素敵な方よね」
「うん、凄く……優しくて安心する方だった」
思い出してもだ、どこまでも穏やかで静かで心地の良い空気を纏う人。
その恩恵に預かった様に、屋敷を後にした後の私の心までどこか解きほぐされていた。
思い出し口の端を上げていれば、そんな私を振り返っていた姉がクスリと笑って歩みを進め。
「良かった。寧々ちゃんもおじ様には好印象なのね。それなら少し安心だわ」
「安心?」
どういう意味であるのか。
問いかけようと口を開きかけたけれど、すでに姉の歩みは止まっており、気がつけば嫌と言うほど見覚えのある部屋の襖。
「お爺様、寧々が帰ってまいりました」
そんな姉の言葉に緊張を張りなおせば、すぐに返される、
「入りなさい」
変わらぬ重厚な声音。
促されるまま中にはいれば、昔と変わらぬ位置に背筋の伸びた威厳ある姿。
笑った顔など数える程度にしか見た事がないかもしれない。