Lingerie~after story~
ああ、それでも…やはり少し歳を重ねてまた皺が刻まれたのだろうか?
それすらも生き様を示す様に、皺が増える度に威厳をも増しているのではないかと感じてしまう。
そんな姿の前に座って、丁寧に頭を下げると「ただいま戻りました」と堅苦しくも感じる挨拶を口にした。
「夜分に呼び戻して悪かった。でも、良く戻ったな。……元気そうで何よりだ」
「お爺様こそお元気そうで何よりです」
「元気な事だけがお爺様の取柄ですものね、」
「紗々、」
「フフッ、あら、本当の事じゃありませんか」
「………」
相変わらず……この姉には恐いものが無いのだろうかと心底感心する。
私であったら絶対にこんな言葉を目の前の厳格な祖父に言える筈もないというのに、姉ときたらコロコロと砕けた笑みで悪びれもせずに言葉にするのだ。
そんな姉の姿に憤怒するでもなく、言い負かされた様に押し黙る祖父には更に驚きを隠せなかったけれど。
張りつめていた緊張感は姉の介入でどこか緩みがちになっていたと思う。
それでもそれを正さんと咳払いした祖父に意識を戻せば、その表情でここからが呼び出された本題なのだと理解する。
理解が及べば自分の姿勢も自ずと伸びて、どんな話でも冷静に受け止められるようにと静かに深呼吸し言葉を待った。