Lingerie~after story~
昼間の出会いがまさかそんな話に繋がるとは誰が思うだろうか?
突如浮上した嫁入れの話は私の意志などお構いなしに進みきっていて、形としてはどうやらすでに私は徳嶺の婚約者であるらしい。
何をどこから言葉にして吐き出せばいいのか。
感情の起伏も定まらず、ただただ突きつけられた無情な現実へ焦燥感ばかりが強まる。
この家同士の繋がりが実に大きな話である事は充分に分かるけども……。
でも、私は……
「フフッ、実に良いお話よね」
「っ…紗々ちゃ…」
「徳嶺家に見初められるなんて私も姉として誇らしいわ。やっと寧々ちゃんの努力や芯の気品やしなやかさが認められたのよ?寧々ちゃんにとっても誉な話だと思うけれど」
「紗々ちゃん、私は……」
「寧々ちゃん、……あなたがいくらその身をこの家から離そうが、自由な生活を選ぼうが根はしっかりと水守の家に繋がっているのよ」
「っ……」
「あなたは水守家の次女なの。ようやくその役目を果たす時が来たの。大丈夫よ、徳嶺の家は寧々ちゃんも知っての通り温厚誠実な家柄だもの。大切に迎い入れてもらえるわ」
「ちが……そうじゃなくて……私は……」
「………寧々ちゃん。…もしかしてあなたお付き合いしてる男性がいると言うんじゃないでしょうね?」
「っ………」
今の今まで、いつもと変わらぬ姉の笑みと口調であったのに、不意にどこか威圧的に感じた声音に見事萎縮して言葉が詰まった。