Lingerie~after story~
姉は……こんな厳格な人間であっただろうか?
それこそ、祖父に似た空気を姉に覚えた瞬間だ。
そうか、祖父も言っていたじゃないか。
今やその家督を継ぐべき姉がこの家を率いているような現状。
私が家を離れ自由に過ごしている間に祖父から姉にその威厳や権限や意志は移り変わっていたらしい。
気が付けば祖父は口を閉ざし、話しを進めていたのは姉の方なのだ。
そうして、姉から向けられる視線の鋭さは過去に祖父に感じたモノに類似して萎縮する。
それでもだ、
「っ……私…は、………お付き合いしてる人がいます」
「………」
「今……生活も共にしていて……」
「その人のお仕事は?」
「………同じ職場の……デザイナーです」
「そう」
「…………」
「じゃあ、今すぐにお別れしなさい」
「っ!!?」
「やはりこの家から出すべきじゃなかったのよ。なのにお爺様は寧々ちゃんには実に甘い性分を発揮なさるからこういう厄介な事になるんですよ」
「……うむ、」
「寧々ちゃんも寧々ちゃんです。お爺様の配慮あって自由な道に歩み進んで生活していたかもしれないけれど、あなたはあくまでも水守の人間。その自覚が無さすぎる」
「っ……」
ぴしゃりと浴びせられる言葉のつぶては実に冷たく身に食い込むように痛みを広げる。