Lingerie~after story~




自覚が足りないと言われてしまえば確かだ。

だって、もうてっきり水守の人間としては落第した人間で、何をしようと見放されているのだと思っていた。

根から自由に解放されたのだと思っていた。

でもそれが私の勝手な思い込みで、まだこうして水守の名の重さに縛られる身であったなんて。

改めて突きつけられた自分の強力な縛りにどう足掻いていいものか。

何一つ整理のつかない頭はひたすらに混乱を続けていて、そんな私に再度通告も容赦なく、

「寧々ちゃん、」

「っ……」

「別れなさい」

「…っ……嫌、」

「いい歳して我儘はやめなさい」

「我儘?私の事情お構いなしに勝手に話を進めたのはそっちでしょう!?それなのに私の言い分は我儘になるの!?」

「……そうよ。我儘になるわ」

「っ……」

「話はあなた個人の問題じゃない。家と家の結びつきの話でもあるの。申し出を受けた時点で変えようのない決まり事だわ。断れば角が立つ。今後の付き合いや関係にも影響して、最悪水守の家名も落としかねない」

「それは……」

「そろそろあなたもお爺様に恩を返すべきだわ。男手一つで幼い私達をここまで教え育んでくれたのよ?それに報いるのが私達の筋じゃないかしら」

「っ……」

「それとも、家名を落したい程に恨んで憎んでいるのかしら?お爺様も、この家も、」

恨んでいる。

そう答えられるほど、本当に恨みつらみを抱いていたらこんなに苦しい感覚には陥らないんだろう。


< 310 / 416 >

この作品をシェア

pagetop