Lingerie~after story~


私に呆れる?

あっさりとその手を離し家に屈したと、呆れて『裏切者』だと遺憾に思う?

弱い女だと見限る?

出来る事なら自分の心情をぶちまけ説明したい。

そうじゃないのだと泣き喚いて説明したいと喉元まで沸々とした感情の塊が込み上げているのに。

発する事を許されない言葉が喉に詰まって息苦しい。

もう、泣いてしまっていいだろうか?

そんな事を思って嗚咽を響かせるきっかけを見計らっていた様な刹那だ、

『……分かった、』

「っ………」

『寧々さん、今からする質問にYESなら〝ゴメン〟とか否定的な言葉で返して』

「っ……九条く」

『今の話、寧々さんが望んだ意志?本当に俺との関係を終わらせたい?』

「っ………ちが……っ…〝ごめん〟、」

ようやく響いた彼の了承に一瞬血の気が引いて気が遠くなるも、すぐに続いた冷静な言葉の誘導には戸惑いが生じて呆けてしまった。

そんな私にお構いなしに続けられた問いかけはまるでこちらの事情が見えているかのようで、そんな彼に驚愕しつつも慌ててYESだと示す『ゴメン』を響かせた。

勿論、悲壮感たっぷりに。

『今の話は強制的に言わされている寧々さんの意でない別れの言葉って事で良いんだよね?』

「本当に……〝ごめんなさい〟」

『寧々さんは、俺のところに戻りたいんだよね?』

「〝ゴメン〟……もう一緒に居られないの」

向こうの言葉が聞こえぬ私だけの姿であるなら、多分最後の別れの縺れと見えるのだろう。



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