Lingerie~after story~
姉が花咲く場所はここであったのだろう。
でも、私は違う。
同じだけ、分け隔てなく教養は与えられ身についた。
与えられたものに不満などない。
認められないと嘆いた時間もあったけれど、今はもう何とも思わない。
だって、私が認められたいと思うのはこの家の身分にじゃない。
九条くんに価値ある私である事の重要性。
そうだ、今更この家に応えようとして要らぬ萎縮を覚える必要なんてない。
「私の価値は爽にだけあればいい」
告白であり、戦線布告であり。
目に浮かぶわ。
まだ繋がる電波の向こうで満足そうに、それでも当然だと言わんばかりに笑む彼の姿が。
それを示すようにだ…
『やっと思い出してんじゃねえぞ』
ほらね。
不機嫌に見せかけて歓喜一色の声音。
そんな一言を耳にしながら、見据えるのは戦線布告を向けた姉の姿。
負けるものか。
こんな対抗心を全開に姉を見たのは初めてだろう。
対比され、認められたいと思っていた時でさえ、どこかで私は諦めていたんだ。
敵うはずがない相手だと。
今まで、姉の存在を本気で追い抜こうとはしてこなかったのだと今更ながら理解した。
でも、今は違う。
姉に、この家に、言いなりになって堪るものか。